野口靖さん(東京工芸大学教授)・溝口大助さん(文化人類学者)との共同制作によるビデオインスタレーションのための映像作品。
公園で世間話をしている主婦たちの日常会話を通して、外務省機密漏洩事件(通称:西山事件)の発端から裁判へと至る経過がゴシップとして語られていく。22年後、同じ公園で夫婦が特定秘密保護法の成立へと至る過程について話している。
本作品では、シナリオとして書かれた台詞の言葉、実在する事件の当事者によって話された言葉(報道記事や関連書籍からの引用)、そして裁判記録として公に公開されている文書という、位相の異なる3種のテキストを出演者それぞれが話し、朗読する。ひとつの出来事がどのように語られ、どのように伝わっていくのか? ここにも「真実とは?」という「正義」が横たわっている。
Through the daily conversation of housewives in the park, the process of the Nishiyama incident from the beginning to the trial is described as gossip. Twenty-two years later, in the same park, a young couple talks about the process leading to the enactment of the Act on the Protection of Specially Designated Secrets.
This film is a reconstruction by author’s own interpretation based on the process from the Ministry of Foreign Affairs secret leakage case (aka Nishiyama Incident) in the 1970s to the Act on the Protection of Specially Designated Secrets.
インスタレーションでは、溝口大助さんの研究資料映像による西アフリカのマリ共和国のセヌフォ社会における裁判の様子を記録した映像(2007年)と、本動画が並置される。時間も空間も隔たった二つのエピソードを並置することで、普遍的な「正義」の存在や、そもそも「正義」とはどのようにして私たちの日常にあるのか、ということを問いかける。